企業が提供する製品やサービスを市場で普及し、顧客が実際に購入に至るまでには、適切なマーケティングをおこなうことが重要です。
しかし、マーケティングといっても様々な観点があるため、どのようにマーケティング戦略を立てれば良いのか分からない方も多いと思います。
この記事では、マーケティング戦略の必要性から、代表的なフレームワーク、そして失敗しないための注意点まで紹介します。
マーケティング戦略とは
まずマーケティングとは、様々な定義が存在しますが、「顧客分析を行い、適切なリード(見込み顧客)の創出と購買意欲を高めるための活動全般」と簡単にここでは定義します。
リードの創出(リードジェネレーション)について詳しく知りたい方は、下記のリンクからご覧ください。
リードジェネレーション・ナーチャリングとは?
リードのランクやサスペクト・プロスペクトも解説!
BtoBマーケティングでは、多くの企業が実践している、「リードジェネレーション」「リードクオリフィケーション」「リードナーチャリング」。この記事では、これらの言葉の意味について解説したあと、リードナーチャリングにとって非常に重要となるリードのランク分けについても解説します。
マーケティング戦略も同様に多くの定義が提唱されていますが、簡単に言うと、「誰に」「どんな価値を」「どのように提供するか」を定める取り組みのことを言います。
自社の商品・サービスの市場や顧客を分析し、把握した上で、競合との差別化を図り、どのようにアプローチするか、という戦略を立てることで、事業や施策の成功を目指します。
では、なぜマーケティングを行う上で戦略が必要とされるのでしょうか。
マーケティング戦略の必要性
多様化する顧客のニーズに対応する
昔は、顧客が情報収集をする手段が、テレビや新聞などの限られたマスメディアのみだったため、一定の方法での情報発信でマーケティングの効果を得られました。
しかし、インターネットやSNSなどの普及で、いつでもどこでも情報を得られる現代は、顧客のニーズは多様化し、変化のスピードも高速化しています。
その多様化された顧客のニーズに対応するために、マーケティング戦略の実施が必要となります。
限られたリソースで効率的に売上を上げる
今までは、営業担当者の過去の経験や予測で事業・施策を展開していたため、社内リソース(ヒト・モノ・カネ)を無駄にしてしまうことも多く見られました。
マーケティング戦略を練り、分析した情報を基にすることで、限られた社内リソースを無駄なく活用でき、効率的に売上を上げることができます。
施策の成功要因・失敗要因の把握
マーケティング戦略と一言で言っても、様々な戦略・分析が含まれており、施策を行った後の効果検証も含まれます。
そのため、販売市場や顧客、実績などのデータを用いて分析を行うことで、成功要因・失敗要因が把握できます。
成功要因・失敗要因が把握できることで、事業や施策の修正も行いやすく、次の事業・施策に活かすこともできます。
次に実際にどういったフレームワークがあるのかを紹介していきます。
マーケティング戦略に
使用されるフレームワーク
マーケティング戦略で使用されるフレームワークは様々ですが、ここではよく使われる3つを紹介します。
3-1. SWOT分析
自社の事業や施策を成功させるために自社環境の現状について内部・外部 / プラス要素・マイナス要素から考えるためのフレームワークです。
4つの要素の頭文字を取って、SWOT分析と言います。
4つの要素を集めることができたら、クロスSWOT分析を行います。
目的に応じて、内部環境と外部環境の要素を掛け合わせ、解決方法を導きだします。
例えば、「自社の強みを生かして、成長機会により利益を最大化したい」という目的の場合は、「Strength(強み)」×「Opportunity(機会)」で考えます。
このクロスSWOT分析を行うことで、自社がこれから挑戦したい市場領域や事業課題の解決方法が見えてきます。
STP分析(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)
STP分析の流れ
自社がどういった市場で、どういった顧客をターゲットに事業・施策を行うか。
市場で競合と比較し、自社の優位な点は何か。といったことを明らかにします。
始めに、セグメンテーションとは、潜在する市場のニーズや価値観を把握し、細分化・グループ分けすることです。
セグメンテーションを行う指標は、企業により様々ですが、一般的に、よく使われるものを紹介します。
①人口統計的変数:年齢・性別・家族構成・学歴・職歴など。基本情報を基にした指標。
②地理的変数:国・市町村・気候など。地理的要因の情報を基にした指標。
③心理的変数:価値観・ライフスタイル・など。個人の心理に基づく情報を使用した指標。
④行動変数:購買状況、頻度・使用用途、頻度など。顧客の行動に焦点を当てた指標。
次に、ターゲティングは、セグメンテーションしたグループから、自社が狙う市場を決定します。
ターゲティングでは、環境分析の観点から考えるため3C分析という方法を用います。
「Customer(顧客)」:顧客のニーズはどういったものか。
「Competitor(競合)」:市場の状況やどのような競合が存在するのか。
「Company(自社)」:自社の立ち位置はどういったものか、競合と差別化できる点は何か。
以上の3つのCの視点からターゲットにする市場を選びます。
最後に、ポジショニングで、決めた市場内で競合と比較し、自社の立ち位置を決定します。
ターゲティングで選んだ市場の中で競合より自社に優位性があるポジショニングを選び、自社の優位性を示すためのアピールの仕方も同時に考えます。
STPを行う際、自社が誰をターゲットにするのかを明確にすることが重要です。
細かく明確にターゲットを設定することで、ペルソナの作成に繋げることができ、その後の施策でズレを生みにくくなるメリットもあります。
ペルソナについてより詳しく知りたい方は、下のリンクから別の記事をどうぞ!
マーケティングにおけるペルソナとは?基礎知識から作成方法まで解説!
マーケティング用語として利用され、耳にすることは多いものの意味がハッキリしない言葉の一つである「ペルソナ」ですが、正しい意味をご存じでしょうか。
多くの人が「ターゲット」と同じような意味で利用されていますが、実はこの2つには違いがあります。
この記事では、ペルソナの基本的な知識からターゲットとの違い、そしてペルソナ作成の重要性と作成手順についてもご紹介します。
4P分析(マーケティングミックス)
マーケティングミックスとは、複数のマーケティングの要素を組み合わせ、企業が顧客の購買行動を起こさせる環境を作ることを言います。
ここでは、代表的な4P分析を紹介します。
4P分析は、STPで定めた内容の具体的な施策を決めるためのフレームワークです。
4つのPから始まる要素を組み合わせて考えます。
これらの施策の整合性がとても重要になってきます。整合性があり、一貫性があることで、顧客の購買行動に繋がります。
これらのフレームワークを使用し、分析を行い、「誰に」「どんな価値を」「どのように提供するか」という戦略を決定します。
マーケティング戦略の失敗理由・注意点
マーケティング戦略を行うことで、事業や施策の成功に繋がると説明してきましたが、失敗してしまう場合もあります。
失敗する原因と失敗しないための注意点を紹介します。
目的が不明確
マーケティング戦略を行う際に、目的が曖昧なまま行ってしまうと、分析する要素もあやふやになってしまったり、分析がまとまらなくなります。
目的を明確にすることで、分析に必要な要素もはっきりとし、目的に合ったマーケティング戦略を行えます。
市場調査の不足
市場調査は、マーケティング戦略の上でとても重要な手順です。
市場調査が不足したまま、分析を行ってしまうと、自社が優位な市場を誤ってターゲティングしてしまったり、その市場における自社の強みなども誤った認識になってしまう可能性があります。
漏れや不足が無いよう市場調査を行うことが大切です。
ターゲットの設定が不明確、共有不足
製品やサービスのターゲットを明確にしないまま進めてしまうと、その後の戦略や分析が目的とズレたものになってしまったり、共有した際に認識の齟齬が起きてしまう可能性もあります。
ターゲットを明確化、もしくはペルソナを設定し、具体的な人物像を掘り下げることで防ぐことが可能です。
まとめ
今回はマーケティング戦略について、基本的な定義から、必要性、代表的なフレームワーク、そして失敗しないための注意点を紹介しました。
多様化する顧客のニーズに対応し、製品やサービスを顧客に認知してもらい、購入まで繋げるためには、マーケティング戦略が重要となってきます。
しかし、なんとなくで行ってしまうと意味のないものになってしまいますので、目的に合ったフレームワークを適切に使用することが大切です。
マーケティング戦略をしっかりと行い、事業や施策の成功に繋げましょう。