ビジネスアプリ作成クラウドサービスのkintoneは、幅広い業種での活用が進んでいます。
プログラミングなしでも高機能なシステムを構築できる大変便利なサービスですが、実際に導入を考える際、料金がやや高く感じるかもしれません。
そこで本記事では、kintoneの料金が高く感じる理由と、kintone連携サービスの「フォームブリッジ」を用いてコストを抑えながら、kintoneを活用するポイントを紹介します。
kintoneやフォームブリッジの導入を検討している方、業務効率化クラウドサービスをお探し中の方は、ぜひ参考にしてください。
kintoneとは?
Kintoneはサイボウズ株式会社が提供するクラウドベースのビジネスアプリケーション作成サービスです。このサービスでは、100種類以上の業種や業務向けの事前に用意されたサンプルを自由に組み合わせて、手軽に高機能なアプリを作成することが可能です。
プログラミングや開発の専門知識がない人でも、ドラッグアンドドロップだけで操作ができるのが特徴です。Kintoneにはさまざまな料金プランがあり、単発プロジェクトから企業の管理基盤まで、どんなチームサイズにもフィットするように設計されています。
初期費用は不要で、毎月の解約や契約更新が可能です。最低5ユーザーからスタートでき、その後は1ユーザー単位で追加ができます。オプションで、セキュリティの強化やディスク容量の拡張サービスも提供されています。
Kintoneの料金プランは、小規模なライトコースと広範囲をカバーするスタンダードコースの2種類があり、使用目的や規模に合わせて選択できます。
Kintoneを使用すると、顧客情報や売上データなどの日々更新される大量の情報を、リアルタイムで迅速に集中管理できるようになります。
さらに、複数のユーザー間での情報共有が可能で、チャットやコメントの送受信も行えます。高度なセキュリティが確保されており、データ管理とコミュニケーション機能が統合されたビジネス向けアプリケーションとして、安全に利用することができます。
kintoneの料金プランを解説
kintoneはライトコース、スタンダードコースの2種類のプランを提供しています。以下の表では、それぞれのプラン内容の違いを表しています。
プラン | ライトコース | スタンダードコース |
---|---|---|
月額料金(税抜) | 780円 | 1,500円 |
年額料金(税抜) | 9,170円 | 17,640円 |
アプリの利用可能数 | 200個 | 1,000個 |
スペースの利用可能数 | 100個 | 500個 |
ゲストスペースの利用可能数 | 100個 | 500個 |
API/カスタマイズ機能の利用 | 不可 | 可能 |
対象 | 小規模プロジェクトや中小企業 | 大規模プロジェクトや大企業 |
ライトコース
ライトコースでは、1ユーザー毎に月額780円(税別)、年間では9,170円(税別)の料金が設定されています。
このプランには、データの蓄積・閲覧・検索が可能なデータベース機能と、業務の効率化を支えるコミュニケーション機能を含んだ「アプリ」が最大200個まで、プロジェクトやタスクの進行を助ける「スペース」が最大100個まで利用可能です。
さらに、「ゲストスペース」を最大100個作成し、取引先や顧客を招待することができ、その料金は1ユーザー当たり月額580円(税別)、年間で6,820円(税別)です。
スタンダードコースと比べて、API、JavaScript、プラグイン、Webhookの使用ができないため、外部サービスとの連携やカスタマイズは行えません。機能や利用可能容量に一定の制限があるため、小規模プロジェクトや中小企業向けです。
スタンダードコース
スタンダードコースでは、1ユーザー毎に月額1,500円(税別)、年間では17,640円(税別)が料金として設定されています。
このプランで利用できる「アプリ」の上限は1,000個、「スペース」の上限は500個です。さらに、最大500個の「ゲストスペース」を作成可能で、これにかかる費用は1ユーザーあたり月額1,200円(税別)、年間で14,110円(税別)です。
ライトコースとの違いとして、API、JavaScript、プラグイン、Webhookを利用することができるため、外部サービスとの連携やシステムのカスタマイズが可能です。これにより、kintoneの機能をより広範囲に活用することができます。多機能かつ大容量であるため、大規模プロジェクトや大企業に適しています。
また、30日間の無料トライアル期間があり、気軽にサービスを試すことができます。
なぜkintoneの料金が高いと感じるのか
ユーザー数単位で料金が発生するため
kintoneの料金プランにはライトコースとスタンダードコースがあり、どちらも最低5ユーザーからの契約が可能です。料金はユーザー数に応じて加算されます。
例えば、スタンダードコースの月額が1,500円(税抜)の場合、100名の社員が使用すると、月に15万円のコストが発生します。
大きな企業や多くの社員がkintoneを利用する場合、利用者数が多いほどコストが増加し、費用が高く感じられることがあります。
さらに、kintoneの効果を実感しているとしても、全社員に導入する際のコストを考慮すると、実際に導入に踏み切るのが難しい企業も多いでしょう。
kintoneより安いプランで提供しているツールがあるため
kintoneの料金が他のクラウドサービスと比較してやや高めに感じることがあります。
たとえば、kintoneのスタンダードコースは月額1,500円(税抜)ですが、これよりも低価格のサービスは数多く存在します。
例えば、Microsoft 365 Business Basicプランは、1ユーザーあたり月額650円(税抜)で提供されており、1TBのOneDriveクラウドストレージ、最大300人の参加者とのオンライン会議や通話・チャットが可能なTeams、Webとモバイル用のOfficeアプリ(Outlook、Word、Excel、PowerPointなど)が利用できます。
その他、月額300〜500円で提供されるチャット機能、スケジュール管理、オンラインストレージに特化したサービスも多く、中には無料で利用できるオプションもあります。このような他のサービスとの料金を比較すると、kintoneのコストが高いと感じることもあるでしょう。
kintoneを活用する目的が曖昧なため
kintoneの料金が適切かどうかは、投資対効果で判断されることが一般的です。
しかしながら、業務効率化サービスは導入してすぐにその効果を感じるまでに時間がかかることが多いです。その結果、導入のメリットが事前に明確でない場合、月額のコストが高いと感じられることもあります。
投資対効果を評価する際には、月額費用とユーザー数を掛け合わせ、どれだけの業務効率化や生産性向上が達成されるかを計算する必要があります。
kintoneでは、アプリを1個作成するのも100個作成するのも月額料金に変動はありません。そのため、ツールを最大限に活用することが投資対効果を高める鍵です。
また、たとえアプリが1個だけでも、その1個が月額料金に見合うほど価値があるものであれば、高い投資対効果が得られていると考えられます。
機能が多すぎると感じるため:kintoneでできること、できないこと
kintoneは多機能であり、その広範な機能が小規模な用途には過剰と感じられることがあります。そのため、kintoneの可能性と制限を理解することが重要です。
できること | できないこと |
---|---|
業種や業務に合わせたアプリケーション作成 | 大量データの高速処理 |
データの一元管理 | 複雑な計算や高度な統計処理 |
高いカスタマイズ性 | 複雑な統計データや多次元データのレポート作成 |
コミュニケーションツールとして活用 | 機械学習や人工知能の処理機能 |
モバイル対応 | – |
外部システムとのAPI連携 | – |
多機能であるkintoneは、業務の多様性や拡張性を考慮すると、多くの場合において大きな利点となります。導入を検討する際は、業務の要求とコストを照らし合わせ、kintoneが適切な選択であるかを慎重に評価することが推奨されます。
フォームブリッジでkintoneをお得に活用する方法がある
kintoneの料金プランにはライトコースとスタンダードコースがあり、どちらも最低5ユーザーからの契約が必要で、その後はユーザー数ごとに料金がかかります。
ただし、kintoneと連携するサービスの中には、kintoneのライセンスがないユーザーもレコードを追加したり、kintone内のデータを閲覧できるものが存在します。これらのサービスではユーザー単位ではなく、ドメイン単位で料金が発生するため、ユーザー数が変動してもコストに影響しません。
このような連携サービスを組み合わせて使用することにより、kintoneのトータルコストを抑えつつ、その機能を効果的に活用することが可能です。例として、kintoneにデータを直接保存できるWebフォームサービス「フォームブリッジ」の特徴を紹介します。
kintone契約:1ドメイン1環境、ユーザー数に関係なく利用可能
フォームブリッジの利用では、スタンダードコースを使用しているkintoneの各ドメインに対して、フォームブリッジの契約を一つ結ぶ形式をとります。これにより、ユーザー数に基づく課金がなく、ユーザーが増えても料金は変わらず、コスト削減がしやすくなります。
フォームブリッジにはライトコース、スタンダードコース、プレミアムコース、プロフェッショナルコースの4つの料金プランがあります。
最も低価格なライトプランは、月額6,000円(税抜)、年額68,400円(税抜)から始められます。さらに、初期費用や解約費用はかかりません。
kintoneユーザーでなくてもフォームへの入力が可能
フォームブリッジを使用して作成されたフォームには、kintoneユーザーでない人も入力ができます。この機能を利用して、お問い合わせフォームやアンケート、採用フォームなどを通じて、広い範囲の人々から情報を集めたり、多数の求職者を対象とした採用活動を展開したりすることが可能です。
kintoneユーザーでなくてもレコード編集が可能
フォームブリッジを通じて入力されたデータは自動的にkintoneに保存されます。さらに、kintoneで保存された情報を外部に公開することができる「kViewer」を使用すれば、kintoneのライセンスを持っていないユーザーもkintone内のデータを閲覧することが可能です。フォームブリッジとkViewerを組み合わせることで、入力者が自分の入力した内容を確認したり、変更することができるようになります。
月額固定料金で多機能利用可能
フォームブリッジでは、一定の月額料金で多様な機能が利用可能です。
マウスやキーボード操作のみで、制限なく任意の数のフォームを作成できます。フォームが作成されると、そのURLやiframeコードが自動で生成され、これをQRコードに変換してメールで送ったり、会社のウェブサイトに掲載したりすることができます。
フォームのデザインや機能は自由に変更でき、条件分岐やステップ形式のフォーム、多言語対応、投稿数の制限や公開期間の設定など、様々なカスタマイズが可能です。
入力者がフォーム内容を一時保存する機能や、自動で返信メールを送信する機能もあり、これにより回答者と管理者の双方にとって使いやすいフォームを提供できます。
kintoneをもっと便利に有効に活用しよう
この記事では、kintoneの料金が高いと感じられる理由と、フォームブリッジなどの連携アプリを使用して、コストを抑えながらkintoneを効果的に活用する方法について説明しました。
kintoneの料金が高いと感じるかどうかは、その活用方法や得られる効果によって変わります。
さらに、フォームブリッジだけでなく、kViewerやkMailerのようにユーザー単位ではなくドメイン単位で契約可能な連携サービスも多く存在します。これらのサービスを組み合わせることで、全体のコストを削減しながらkintoneをより有効に使用することができます。