フライホイールモデルとは?重要とされる理由と活用するまでの手順を解説!

時代が情報化社会になるにつれて、人々はいつでも自由に情報収集ができるようになりました。
これにより、企業が広告を発信するよりも、中立的な立場からの意見である「口コミ」などの力がより大きくなってきています。
そんな中で注目していただきたいビジネスモデルが、HubSpotが提唱した循環型のビジネスモデルである「フライホイールモデル」です。

参考: 「ファネルからフライホイールへ:HubSpotにおけるビジネスモデルの転換」https://blog.hubspot.jp/our-flywheel


今回はこのフライホイールモデルについて、概要、重要とされる理由、フライホイールを活用するまでの手順についてご紹介します。

フライホイールモデルとは

フライホイールとは、本来、車のエンジンなどにも利用されている部品の名前を指します。

マーケティングにおいては、HubSpotが提唱したビジネスモデルで、これまでの一方通行な考え方である「ファネル」とは異なり、循環型のビジネスモデルとなっています。

ファネルとフライホイールモデルの一番の違いは、業績向上(顧客獲得)のためのエネルギーの使い方にあります。

ファネルは、リードが上から入ってくると、そのリードが下へ下へと進むようにエネルギーを使います。

そして、リードが一番下にたどり着いた時、エネルギーは0となり、また新たなリードを下へ向かわせるために、新たなエネルギーを使わなくてはなりません。

一方、フライホイールモデルは、リードの興味を惹きつけ、信頼関係を築き、満足させ、最終的にはプロモーターとなってもらい、そのエネルギーを新たなリードの興味を惹きつけるために活かします。

この「エネルギーの循環」という点でフライホイールモデルは優れているのです。

これだけでは、カスタマージャーニーを循環型のモデルにしただけのように感じられるかもしれませんが、実際にはこの2つの決定的に異なる部分があります。

それはカスタマージャーニーが一つの輪、つまり摩擦を生むものが想定されておらず、いかに速く回すかだけを考えているのに対し、フライホイールモデルでは、内側の輪、摩擦を生むものを想定し、この摩擦をいかに少なくできるかについても考えている点です。

冒頭でも解説した通り、情報化社会となった今、中立的立場からの評価である口コミは非常に重要であり、厳しい評価を多くいただくと、それは業績にも直結します。

また、その他にも、マーケティング部門と営業部門の連携不足など、摩擦を生むものは多く存在するため、これを減らすことも外側の輪を高速回転させるためには重要となるのです。

「エネルギーの循環」と「2つの輪」こそが、フライホイールモデルの特徴となっているのです。

フライホイールが重要とされている理由

フライホイールの核となる部分は、既存ユーザーからの評価を高めてエネルギーを循環させ外側の輪を高速化すること、そして摩擦を減らし、回転力を損なわせないことにあります。

これまでのファネルでは、企業から発信される情報の信頼性が高いことを前提にして考えていました。

しかし、何度も書いているように現在では、そういった情報よりも既存ユーザーの中立的な口コミの方がより高いマーケティング効果を発揮しています。

そのため、フライホイールモデルが効果的であると考えられているのです。

顧客に価値を提供して興味を惹きつける「Attract」。

信頼関係を築く「Engage」。

そして顧客を満足させる「Delight」。

満足した顧客を推奨者「プロモーター」に転換させ、最終的には推奨者に新たな顧客の興味を生み出してもらう。

この考え方こそがインバウンド手法の理想的な形であると考えられているのです。

これは、一見BtoCだけに有効な手法に見えますが、BtoBでも同じように機能します。

現在ではソフトウェアやITサービスを専門とした口コミサイトなども登場しており、その規模はどんどん拡大しています。

このことからもBtoBにおいても、BtoC同様にフライホイールのインバウンド手法は重要であると考えられています。

フライホイールを活用するまでの手順

アプローチ方法の変化から価値を高めているフライホイールモデルの考え方ですが、ここからは、どのようにしてフライホイールの活用を始めるのかを4つのステップに分けて解説します。

これらのステップは一度通過すれば終わりではなく、何度もPDCAを回すことが重要になります。

現状の把握

実際にはより細かなステージが必要となることも多いですが、フライホイールでは、リードを3つのステージ「Attract(惹きつける)」「Engage(信頼関係を築く)」「Delight(満足させる)」に分けます。

それぞれの段階で、適切なアプローチの仕方、提供する情報が異なるためどこでどのようなアプローチと情報提供を行うのかを確認します。

具体的には、「Attract」では、自社のノウハウなどを活かしたコンテンツの作成などを行い、「Engage」でリードの課題、目標の認知を行い、それに応じた情報提供をします。

そして、「Delight」では、顧客となった人に対して、本当に価値のあるものを提供し、より洗練された顧客体験をしてもらいます。

このフライホイールの健全性を測るため、どのような投資を行って、その効果をどのように測るのかまで決定します。

リソース分配の最適化

フライホイールの回転スピードが安定するまでは、「Attract」「Engage」の部分にリソースを集中せざるを得ませんが、回転スピードが安定し始めたら、「Delight」にも目を向け、リソースの配分を再検討しましょう。

エネルギーを循環させ、フライホイールの回転スピードを上げるためには、顧客のプロモーター化が重要となります。

そのため、顧客満足度を向上させるような施策や活動を行わなければならないのです。

摩擦発生ポイントの特定

フライホイールの回転スピードを落とす要因となる、摩擦が発生するポイントを外部、内部に分けて探します。

外部の摩擦発生ポイントとは、リードや顧客が不満を持ち、苦情や厳しい口コミなどをどこに寄せているのかを探します。

そして、内部の摩擦発生ポイントとは、部門間の連携が取れていないことやボトルネックとなっているプロセス、一向に改善されない指標などになります。

摩擦の改善方法を探す

摩擦発生ポイントを特定したら、それをどのように改善するか考えます。

外部の摩擦発生ポイントについては、アンケートや口コミなどから具体的なポイントが分かるため、比較的簡単に改善策を見つけることができます。

しかし、内部の摩擦発生ポイントは、比較的改善方法が複雑であることが多いです。

繰り返される業務の自動化や、目標の再設定、最終的には組織構造の再編が選択されることもあります。

まとめ

今回はフライホイールモデルについて解説しました。

エネルギーを循環させ効率的に顧客を生み出すという考え方は、顧客満足度の向上が必須であり、顧客満足度を向上させるためには、企業と顧客がwin-winの関係でなければいけません。

企業と顧客双方が利益を得ることのできる関係性を築くために、フライホイールモデルの採用を検討してみてはいかがでしょうか。

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弊社ではフリーミアモデルについても詳しく解説した記事をご用意しておりますので、ぜひ下のリンクからご覧ください。